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− 近 畿 の 地 質 −
新第三紀−第四紀 堆積岩類

基 盤 岩 類
白亜紀−古第三紀 火成岩類
● 新第三紀−第四紀 堆積岩類
新第三紀−第四紀 火成岩類

|| 概 説

新第三紀になると、日本列島の各地で激しい海底火山活動を主体とする地殻変動が始まりました。この地殻変動では海底火山活動による膨大な火山岩類が変質化作用を受けて、緑色に変色した岩石(グリーンタフ=緑色凝灰岩)が形成されました。このことから、この地殻変動をグリーンタフ変動と呼びます。日本列島全体ではグリーンタフ変動が激しく進行した地域と、変動の弱い地域とが明瞭に区別されます。前者をグリーンタフ地域、後者を非グリーンタフ地域と呼びます。近畿地方では日本海側のごく限られた地域がグリーンタフ地域となっており、山陰北陸区と呼ばれています。

新第三紀の後半になると、日本列島は全域にわたって差別的なブロック隆起の傾向が強まり、グリーンタフ変動とは別の地殻変動が始まりました。この地殻変動は島弧変動と呼ばれています。この地殻変動の中で日本海が形成され、日本列島は大陸から分離しました。また、第四紀の火山脈、浅〜深発地震帯、海溝などが形成されました。そして、現在日本列島で起きている火山噴火、地震、地すべり、土石流などの自然災害を及ぼす現象は、現在でも島弧変動が進行中であることを示しています。

グリーンタフ変動〜島弧変動にかけての近畿地方の非グリーンタフ地域で形成された地層は、分布範囲によって中央構造線に沿って広がる瀬戸内区と、外帯(中央構造線より南側)の南海区に分けられます。瀬戸内区は地質時代的に新・旧の2つの地層に分けられ、古い時代(新第三紀前半)の地層群が堆積した地域を第一瀬戸内区、新しい時代(新第三紀後半〜第四紀前半)の地層群が堆積した地域を第二瀬戸内区と呼びます。第二瀬戸内区に地層が堆積した頃は島弧変動が活発な時代で、当時の地殻変動はとくに六甲変動とも呼ばれます。 第四紀にはその後の海進、海退により、段丘構成層、沖積層が堆積していきました。


新第三紀中新世に形成された地質の分布
出典:「日本の地質6 近畿地方」(1997年7月)、p.112


新第三紀鮮新世〜第四紀更新世に形成された地質の分布
出典:「日本の地質6 近畿地方」(1997年7月)、p.132

|| 新第三紀前半に形成された地層

■ 非グリーンタフ地域(瀬戸内区、南海区)の堆積岩類

泥岩、砂岩、礫岩、凝灰岩からなります。これらの岩石は形成年代が新しいために固結度が低く、堆積軟岩と呼ばれます。地すべりを起こしやすい地質です。また、泥岩は膨潤性があり、土木建設において問題となることがあります。

なお、瀬戸内区で代表的な新第三紀層とされてきた神戸層群は、最近の研究では古第三紀に形成されたことが分かってきました。しかし、土木工学的には今までと同様、新第三紀層として扱うことが妥当と思われます。つまり、神戸層群に完全な古第三紀層としての設計基準を適用するのではなく、これまでの新第三紀層としての設計基準の適用範囲を古第三紀後半〜新第三紀の地層に広げることが妥当だと考えます。

■ グリーンタフ地域(山陰北陸区)の堆積岩類、火成岩類

近畿地方の新第三紀前半に形成されたグリーンタフ地域の堆積岩類、火成岩類は、北但層群と呼ばれています。

堆積岩類はおおむね非グリーンタフ地域のものと同様な性状を示しますが、こちらは何といっても凝灰岩類(火砕岩類)が多く、砕屑岩類(泥岩、砂岩、礫岩)も多くは凝灰質となっているのが特徴です。

凝灰岩類および凝灰質岩は乾湿のくり返しによる劣化(スレーキング)に弱いのが特徴です。このため、掘削等で表面にさらされた岩盤はすぐに劣化してしまいます。また、斜面に岩盤が露出している場合には、表面から岩盤が剥離していきやすく、ときには大きな岩塊の剥落も生じます。

火成岩類はおもに安山岩からなり、流紋岩や玄武岩も分布します。これらは硬質な塊状岩盤を形成しています。

|| 新第三紀末〜第四紀に形成された地層

新第三紀末〜第四紀に形成された地層は、瀬戸内区に最も多く分布します。グリーンタフ変動に伴う地層は、新第三紀末に形成されたものです。

■ 瀬戸内区の地層

未固結の粘土、シルト、砂、礫からなり、大阪層群、古琵琶湖層群、あるいはそれらの相当層と呼ばれます。これら、あるいはこれら以降の地層は、岩石、岩盤とは言えず、土砂扱いとなります。

■ グリーンタフ地域(山陰北陸区)の堆積岩類、火成岩類

新第三紀末に形成されたグリーンタフ地域の地層は、兵庫県美方郡美方町、温泉町を中心とした比較的せまい地域に分布しており、照来層群と呼ばれています。

下位より流紋岩類、堆積岩類、安山岩類の順に分布しています。

堆積岩類は新第三紀前半に形成された北但層群に比べると、固結度は幾分低くて軟質です。

最上位の安山岩類の活動の際には、北但層群を貫いてヒン岩類が貫入しました。これらは猿尾滝ヒン岩と呼ばれます。

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