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− 近 畿 の 地 質 −
基 盤 岩 類

● 基 盤 岩 類
白亜紀−古第三紀 火成岩類
新第三紀−第四紀 堆積岩類
新第三紀−第四紀 火成岩類

|| 概 説

日本列島が形成される過程では、日本列島は現在のような島弧状とはなっておらず、ユーラシア大陸の縁辺をなしていました。大陸縁辺ではマントル対流に伴う海洋プレートの沈み込みが起こっていました。

海洋プレート上には遠洋性の深海堆積物と考えられる層状チャートが堆積していました。また、所々に緑色岩からなる海山(海底火山丘)が形成されており、その頂部では浅海性のサンゴ礁が形成され、それが起源となって石灰岩を形成していました。 海洋プレートが大陸縁辺に近づくと、大陸を供給源とする泥岩や砂岩が層状チャートの上位に堆積していきました。この一連の層状チャートと上位の泥岩・砂岩の重なりをチャート・砕屑岩シークエンスと呼びます。さらに海洋プレートの移動が続いて、大陸プレートの下へと沈み込みはじめると、チャート・砕屑岩シークエンスの一部がはぎ取られて大陸側に付加します。こうしてできた地質体を付加体と呼びます。

また、大陸縁辺では海山の崩壊(@)や大陸斜面の付加体の崩壊に伴う海底地すべり(A)が発生しました。これらの作用によって大小さまざまな岩塊が、無秩序に取り込まれた地層(オリストストローム)が形成されました。これをメランジと呼びます。


付加体形成モデル
出典:「新版地学教育講座G 日本列島のおいたち」地学団体研究会編(1995年2月)、p.15

古生代から中生代を経て、新生代の古第三紀にいたるまで、大陸縁辺にこのような付加体が形成され、日本列島の骨組みが形成されました。本書ではこれらの地質と、同時代に形成された貫入岩体や、浅海性の堆積盆に堆積した地質を合わせて基盤岩類と呼ぶことにします。

近畿地方では、これらの基盤岩類が東西方向に伸びた地質構造帯を形成しています。地質構造帯のうち、領家帯については白亜紀の火成作用により形成されたものであるため、他の地質帯とは違った意味があります(後述)。

現在、地質平面図で見られる地質の分布は、このような基盤岩類をこれより新しく形成された地質が覆ったり、貫入岩体が貫入したり、断層による変位が生じたりといった様々な活動の結果を表していることになります。


古第三紀以前の地質構造帯区分
出典:「日本の地質6 近畿地方」(1987年7月)、p.4

|| 近畿地方北部の基盤岩類


舞鶴帯・上郡帯および周辺の地質図
出典:「日本の地質6 近畿地方」(1997年7月)、p.8

■ 丹後−但馬帯の超塩基性岩と三郡変成岩

舞鶴帯のすぐ北に接して、大江山岩体・出石岩体・関宮岩体など、比較的大型の超塩基性岩の岩体が分布しています。これらはかんらん岩からなり、蛇紋岩化作用を強く受けています。このため、岩盤には膨潤性があり、地表付近では亀裂が多数発達した状態となっています。

超塩基性岩に伴って、三郡変成岩が分布します。千枚岩〜結晶片岩からなり、片理の発達した岩石です。ただし、片理の発達は後述の三波川変成岩よりも少ないです。

■ 舞鶴帯、上郡帯、丹波帯の堆積岩類

付加体の地層(舞鶴層群、夜久野層群、上月層、龍野層群、丹波層群およびこれらの相当層)と、浅海性の地層(難波江層群および相当層)からなります。いわゆる中・古生層です。

付加体の地層は、泥質岩、砂岩、礫岩、層状チャート、石灰岩、緑色岩などからなります。浅海性の地層は、泥質岩、砂岩、礫岩などからなります。

形成年代が古いため岩石は硬質ですが、地殻変動の影響で断層や節理などの亀裂が発達しています。泥質岩は弱い変成作用により千枚岩化していることもあります。

付加体の地層の場合、概要で示したように泥質岩の中に異種の岩石が取り込まれたオリストストロームが分布することがあります。この場合、取り込まれた岩塊は硬質なことが多いですが、周りの泥質岩には亀裂が発達し、ときには破砕状となっており、土木建設上、問題となることがあります。

■ 舞鶴帯の複合貫入岩類

舞鶴帯の北部と南部には、火成岩や変成岩が分布します。

これらは夜久野複合岩類、あるいは単に夜久野岩類と呼ばれるものです。

夜久野複合岩類を構成する岩石は、弱い変成作用を受けた火成岩類で、変花崗岩、変斑れい岩、変玄武岩、角閃岩、黒雲母片麻岩などです。変斑れい岩などの塩基性岩は蛇紋岩化していることもあります。

夜久野複合岩類は硬質な岩石ですが、所によっては亀裂が発達していることがあります。

|| 近畿地方南部の基盤岩類

■ 和泉帯の堆積岩類

和泉帯には、泥質岩、砂岩、礫岩、酸性凝灰岩などの堆積岩類が分布しており、和泉層群と呼ばれています。浅海性の堆積岩類で、中生代の終わり頃(白亜紀後期)に形成された地層です。

和泉層群の地層は、層理面が明瞭な互層となっています。このため、斜面では層理面の傾きによっては流れ盤となって崩壊しやすくなっています。岩石はおおむね硬質ですが、泥質岩は水による劣化に弱く、他の岩石に比べて風化が進みやすくなっています。

■ 三波川帯の変成岩類

三波川帯には結晶片岩が分布しており、三波川変成岩類あるいは三波川結晶片岩と呼ばれています。三波川帯の南縁には弱い変成作用を受けた塩基性火成岩類や変斑れい岩、蛇紋岩の多い地帯があり、御荷鉾帯として区別されます。

三波川結晶片岩は片理が発達した泥質片岩、砂質片岩、礫質片岩、珪質片岩、塩基性片岩からなります。これらは硬質な岩石もありますが、片理が著しく発達したものは剥離しやすくなっています。

三波川結晶片岩は片理面が流れ盤となる斜面だけではなく、受け盤となる斜面においても崩壊を起こすことがあります。また、地すべりも多く発生します。

■ 秩父累帯、四万十累帯の堆積岩類

付加帯の地層からなります。形成年代に関しては秩父帯が古生代〜中生代、四万十帯が中生代白亜紀〜新生代古第三紀です。いずれも広範囲にまとまった○○層群というような名称は付けられておらず、地域ごとに○○層というような名称が付けられています。

岩石の特徴としては、近畿地方北部の付加帯と同様なものです。つまり硬質な岩石ですが、亀裂が発達したものです。これらは紀伊山地のような非常に急峻な山地を形成しています。

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