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堆積岩の分類と特徴

堆積岩は様々な堆積物が続成作用により固結して形成された岩石です。

|| 分 類

堆積岩は構成する物質によって次のように分類することができます。

構成物質
(堆積物)
粒径(mm) 堆 積 岩
区 分 代表岩石
砕 屑 物 粘 土 〜0.004 砕 屑 岩 泥 岩
頁 岩
(粘板岩)
粘土岩
シ ル ト 0.004〜0.063 シルト岩
0.063〜2 砂 岩
2〜 礫 岩
火山砕屑物 火 山 灰 〜4 火山砕屑岩
(火 砕 岩)
凝 灰 岩
火 山 礫 4〜32 火山礫凝灰岩
火山岩塊 32〜 凝灰角礫岩
火山角礫岩
化学的沈殿物 化学的沈殿岩 チ ャ ー ト
石 灰 岩
生物的沈殿物 生物的沈殿岩

岩石名に下線のあるものは岩石名をクリックすると、その岩石の写真が別画面で表示されます。

砕屑岩のうちの泥(粘土及びシルト)が固結して生成したものは総称して泥岩(泥質岩)と呼ばれることもありますが、狭義では層状の剥離性のないものを指します。層状の剥離性のあるものが頁岩です。頁岩の剥離面は地層の堆積面に平行に発達します。

泥岩や頁岩が弱い変成作用を受けて剥離性を増したものが粘板岩で、さらに変成作用が進むと千枚岩(変成岩の項を参照)となります。これらの剥離面は変成作用によって形成されるため、地層の堆積面とは一致しません。

土木の分野では泥(粘土及びシルト)が固結した岩石に対する呼び名は明確ではないようです。

火山砕屑岩については火成岩の項で述べたように、火砕流によって生成したものの中には火成岩(火山岩)に分類した方がよいものがあります。

|| 産 状

堆積岩は一般に堆積面と平行に層状に産します。異種の堆積岩が互いに層状に重なりあったものは互層と呼ばれています。また、これらの一つ一つの層は単層と呼ばれています。単層の厚さは数o単位から数十m単位のものまで様々です。したがって、単層の厚さが厚い場合は、対象とする範囲内においては塊状岩盤となることがあります。

生成年代の古いものは地殻変動の影響を受けて、単層の連続性が悪く整然とした層状には産しない場合が多くなります。

また、生成年代の古いものはプレート運動による混濁流や海底地すべり土塊などの堆積によるものもあり、初生的に整然とした層状となっていないものが多くあります。これらは泥質の岩石の中に、異種の岩塊が取り込まれたような産状となります。

|| 工学的特徴

堆積岩の岩盤性状は岩石の種類や生成年代によって異なります。一般に生成年代が古いものほど固結度が高くなりますが、反面、変形に対する許容量が小さく、地殻変動の影響を受けているため、亀裂が多くなります。以下、生成年代別に記述しますが、その前に地質時代区分を頭に入れておいてください。

■ 新第三紀層

新第三紀層は砕屑岩や火山砕屑岩からなり、化学的沈殿岩や生物的沈殿岩はありません。一般に新生代新第三紀に堆積した堆積岩は、生成年代が比較的新しいために固結度が低く、岩石としては軟質なものであり、堆積軟岩と呼ばれます。また、軟質なため、応力を受けると変形しやすく、亀裂が少ないのも特徴です。

泥岩はとくに軟質であり、水が浸透するとすぐに脆弱化してしまいます。また、モンモリロナイトと呼ばれる鉱物を含み、膨潤性を示すことがあります。

砂岩はときには硬質となることもありますが、風化作用を受けると深層風化することがあります。

礫岩は基質(マトリックス)となる細粒部が軟質であるため、礫が抜け落ちやすくなります。

凝灰岩は硬質なものもありますが、乾湿の繰り返しによる風化に弱く、剥離しやすいものもあります。

火山礫凝灰岩や凝灰角礫岩、火山角礫岩は上記の礫岩と同様な岩盤性状を示しますが、基質(マトリックス)が凝灰質であるため、脆くなりやすくなります。

以上、各岩石別の特徴を記述しましたが、これらが互層となっている場合、地層境界(層理面)が明瞭であり、地下水が浸透しやすくなっています。このため、地層境界(層理面)に沿って岩盤が劣化している場合があります。そしてそのような地層境界(層理面)が山体の斜面に対して流れ盤となってゆるやかに傾斜している場合、地すべりが発生しやすくなります。

また、新第三紀層は岩石としては軟質ですが、亀裂が少ないため、ボーリングコアーは無亀裂の棒状コアーとなることが多いです。このため、RQD値は高くなりますが、これは硬質岩盤のRQD値とは違った意味を示しますので、一般には新第三紀層はRQD値での評価は行いません。

■ 古第三紀層〜中生層(おもに白亜紀後期に生成したもの)

この時代に生成した堆積岩も新第三紀層と同様に、砕屑岩や火山砕屑岩からなります。また、地殻変動の影響はあまり受けていないので、地層境界(層理面)が明瞭であります。岩石の硬さはおおむね硬質です。ただし、泥岩(頁岩)については乾湿の繰り返しによる岩盤劣化(スレーキング)が生じやすく、泥岩の単層が厚く塊状岩盤を形成する場合は“玉ねぎ状”に風化します。泥岩(頁岩)の単層が薄い場合は層理面と同方向に亀裂が発達し、薄くペラペラと剥がれやすくなっています。

古第三紀層〜中生層は前記のように地層境界(層理面)が明瞭な互層を形成するために、斜面上で流れ盤となる場合は地層境界(層理面)に沿った崩壊が発生しやすくなっています。

■ 中生層〜古生層

いわゆる中・古生層です。これらは砕屑岩や火山砕屑岩をはじめ、化学的沈殿岩、生物的沈殿岩からなります。生成年代が古いため硬質ですが、反面、地殻変動の影響を受けて断層や褶曲などの地質構造が発達し、亀裂が多く、単層の連続性が悪くなっています。

泥岩(粘板岩)は中生層〜古生層においても最も岩盤状態が悪く、層理面に関係なく薄く剥離しやすくなったもの(へき開)が多いです。

また、中生層〜古生層で特徴的な生物的沈殿岩、化学的沈殿岩であるチャートや石灰岩は下記にような性質があります。

チャートは非常に硬質な岩石で、一般的には薄い泥質部を挟んだ“層状チャート”として産しますが、風化が進むと岩片は硬質なまま、亀裂が多く入って角礫状となります。

石灰岩は塊状岩盤を形成しますが、水による浸食に弱く地下に空洞(錘乳洞)が形成されることがあります。

中生層〜古生層はとにかく、亀裂が多いことが特徴です。

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